大切にしているもの(愛用品)をモチーフに、
ササキエイコさんが絵を描く企画 “my favorite ___” に声をかけてもらい、
むかし娘にもらったブーケの思い出、左腕に巻いているミサンガのことを書きました。
とても素敵な絵を描いてもらいました。
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小さなブーケ
娘がいる。もう大きくなってすっかり自分らしく生活している。
小さい頃はとにかく内気な子だった。人と関わることも苦手で、
中学から電車通学になった時は朝からハラハラしていたのを覚えている。
そんな娘が学校の帰り道に、小さなブーケを買ってきてくれた。
父の日だった。
当時は「レジで店員さんと話すから」と買い物も嫌がるような子だったのでとても驚いた。
嬉しくてずっと飾っていたら枯れてドライフラワーになった。
壁にかかったその小さなブーケを見ると、
あの時花を買って帰ろうとした娘の気持ちをふと思い返す。
娘はあの日の事を今でも覚えているだろうか。
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ミサンガ
ずいぶん前に立ち寄った店でみつけたミサンガ。
繊細な細い糸で織られていて、あまり主張しないところが気に入っている。
特に願い事はしていないのだけど、実は何度も切れている。
ただこの控えめな雰囲気が好きで、切れても構わず手首に巻きつけている。
切れて結び直すたびに段々と短くなるので、
次に切れた時は結ぶことが難しい長さになってしまった。
ミサンガは、切れると願いが叶うと言われているけど、
どうかもう切れないでくれと願っている。
すでにミサンガではないのかもしれないけれど。
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